Please select
your language.

言語をお選びください。

DIARY

BANKO archive design museum

BANKO archive design museum in Yokkaichi

BANKO archive design museum in Yokkaichi

先日、「猟銃」の豊橋公演の折、三重県四日市市にオープンして間もない「BANKO archive design museum」を訪れてみました。
名古屋から車で1時間ほどの距離にあるこちらのミュージアムは、焼き物の作家である内田鋼一さんが、ご自身が窯をかまえる四日市に江戸時代から根付いていた地場産業である萬古焼(ばんこやき)の古きコレクターズアイテムを集め、焼き物の未来と地域貢献のために私財を投じて作られたものです。

ご自身は決して萬古焼を標榜している訳ではなく、瀬戸の窯業高校にて作陶を学んだ後、アフリカやアジアなど、世界中を旅して各地の村に住み込みで滞在し、その土地の土で、その村の窯で焼き物を焼くという武者修行を繰り返し、プリミティブでどこか懐かしいのに、なぜか新しく、モダンな器を作り続けていらっしゃいました。

組合や、政治などには全く無縁に見受けられる内田さんですが、何を思われたのか、かつて銀行だった古い建物をリノベーションして、明治期から昭和に作られた品々を収集し、現代の生活にも馴染む器が展示されています。
お察しする限りでは、きっとご自身の志が達成されつつあるなか、「手仕事の灯火を絶やしてはならない」という思いを、説教くささを排除して、楽しく美しく、いえ、むしろかわいらしく表現することで、次の世代へのバトンタッチをしようとなさっているのでしょう。

展示室には、金属を使えなかった戦時中に代用品として作られた陶製のやかんやホウロウを模した洗面器、世界中のコレクターが血眼になって探しているという陶製のキューピー人形、萬古焼でも定評のある急須、そして尿瓶やオマルまでが、内田さんの卓越した美意識によって陳列されています。
四日市で焼かれ、アメリカやヨーロッパに輸出されたのち、日本に逆輸入されたものも数々あったようです。

簡易的な板張りの茶室や、立礼(りゅうれい)でお茶を点てることのできる漆喰製の卓など、内田さんのデザインによる古きものを現代の暮らしに置き換えた作品も見所となっていました。

器の作家さんでもいらっしゃる奥様の京子さんと、お嬢さまお手製のスイーツがいただけるカフェも併設しており、こちらもまたアンティークのテーブルや椅子に、内田さんデザインの椅子が配されて、心地よい空間が演出されていました。

本来ならばあまりお知らせしたくはないのですが、特筆すべきは入り口付近のミュージアムショップでして、オリジナルのスツールやかわいらしいデザインのてぬぐいなどもさることながら、京都や東京の骨董品店ではとても手が出ないような、恐れおののく古きお品、たとえば、高麗や李朝、明朝、古伊万里などの、お好きな方なら垂涎ものの器が破格で販売されており、はるばるこちらを訪れたくなるひとつの大きな理由となっているのです。
実は私も李朝のこよりで編まれた蓋物を求めさせていただきました。

都会でなくとも、美しいもの、好きなものに囲まれて日々の暮らしを営み、時おり気の置けない仲間と集い、時間を作って旅に出る、そんな方々が日本各地にいらっしゃるのですね。

本日22:00より放送の金曜ドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」でも、和風割烹とくらの店内にて、内田鋼一さんの器をいくつか使わせていただいています。
わずかに映り込む素敵な器にもご注目くださいませ。

土楽

Spending a pleasurable moment around the hearth

Spending a pleasurable moment around the hearth

新潟を皮切りに、「猟銃」の地方公演が始まり、京都より戻って参りました。
貴重なお時間を割いて劇場にお越しくださった皆様に、深く感謝申し上げます。

せっかく京都まで足を延ばしたのですから、共演のロドリーグ・プロトーさんにも日本ならではの体験をしていただきたいと思っていたところ、さるお方より山里の自然に触れてみないかとのお誘いをいただきました。

数年前にドラマ「白洲次郎」にて演じさせていただいた白洲正子さんは、辛口でユーモア溢れる随筆を通して、忘れ去られた日本の美しきものを再び世に知らしめた方でした。
日本はもとより、中国や朝鮮半島の古陶磁を収集し、それらを箱に納めて蔵にしまい込むのではなく、日常生活の中で惜しげもなく使っていらっしゃいました。

そして、その正子さんが度々訪れたという三重県は伊賀、あの服部半蔵で知られる忍者の里にて土鍋や器を焼いていらっしゃる福森雅武さんの土楽窯へお連れいただくこととなったのです。

田園の中にたたずむ古い日本家屋には、随所に福森さんが散歩の道すがら野山で選りすぐったというお花がさり気なく、しかし生き生きと飾られており、この数ヶ月、休む間もなく駆け抜けてきた心と身体が、本当に欲していたものが目の前に現れ、瞬く間に心身共にゆるむのを感じました。

福森さんは72歳、デニムパンツに白いロングスリーブのTシャツという出で立ちで迎えてくださいました。
正子さんの御著書にも書かれてはいましたが、板張りの客間には囲炉裏が据えられ、本来は白い灰が敷き詰められる部分にはお手ずからこしらえたというお米のもみ殻をいぶして炭にした燻炭(くんたん)が真っ黒に敷き詰められ、黒い五徳と黒い炭に炎の紅がなんとよく映えることでしょう。
その囲炉裏端に正子さんよろしくあぐらをかいて座ると、奥様と、三女の円さん、四女の道歩さんがお料理を運んできて下さいました。

福森さんがご自身で作られた器に、少しずつ盛られたお料理は、裏山で見つけたというワラビを炊いたものに煮穴子のあぶり、山東菜(さんとうな)のおひたしに揚げ湯葉を和えたもの、えぼ鯛にこはだを軽く酢でしめ桜の葉で香りを付けたもの、アスパラガスの豚バラ巻き、奥様が摘み取っていらした山蕗を炊いたものと、いずれも素材の味を存分に活かし、それでいてししっかりと仕事の施された美味なる品々で、全て福森さんが自ら調理をして下さったものでした。

青磁色の浅めの鉢にはチーズを忍ばせた空豆のすり流しに平貝のソテーが添えられ、ガーリックチップが香ばしい風味を与えていました。
驚きはまだまだ続き、大きな朱色の蓋付きのお椀に張られたのは、鯛の潮汁に柚の花のつぼみを吸い口にしたものでした。
お嬢さんが食事の直前に裏山で摘んできて下さった山帰来(さんきらい)の葉に、ウドの新芽、シロツメクサの花をつなぎ無しの小麦粉と井戸水だけで揚げた天ぷらは、サックサクで野趣に溢れ、忘れがたきものでした。

炭の火がいよいよ燃えさかる頃、福森さんの黒い土鍋が五徳に据えられ、熱で溶かされた牛脂と共に、飛騨牛のヒレ肉が焼かれ始めました。
表面をさっとあぶった飛騨牛が、まるごと一枚ずつ、白洲正子さんから賜ったという明朝の古染付に大胆に取り分けられ、これも福森さん特製の山椒だれとともにいただくと、お肉の塊であることを忘れるくらい、瑞々しさと、凝縮された旨味がすっとのど元を通り越し、胃袋のなかへとやさしく落ちていったのです。

お料理にはお砂糖もみりんも用いず、新鮮な旬の素材の甘みと天然塩のもつ旨み、わずかな醤油、出汁の風味だけで味わい深く、思わず顔がほころびました。

黒い小鍋に入れたモンドールチーズを炭火の熱で溶かし、白ワインを加えたものに真桑瓜(マクワウリ)を付けて食すと、メロンのようなほのかな甘みとチーズの発酵臭が重なって、極上のデザートとなりました。

「私は芸術家ではなくて、職人なんです」とおっしゃる福森さんは、美術館に飾るための作品ではなく、日常生活で人々の暮らしに馴染む器を作ることを貫いていらっしゃるのだそうです。

いつもは日本人よりも日本人らしい慎ましさとたしなみを持ち、まるで長年連れ添った夫婦のように、無言でいつまでも同じ空間にいても気を遣わせないロドリーグさんが、思いがけぬおもてなしに大変感激したようで、珍しく感情を露わにして福森さんと何度も握手を交わし、抱き合っていました。

「なんでもないということが大事なんです。無駄なことが大事なことなんです」
という福森さんに「はい」とはにかみながらも笑顔で同意していたロドリーグ・プロトーさんもまた、「なんでもないこと」を何十年も修行僧のように謙虚に繰り返し、芸に身を捧げていらした方なのです。

金曜ドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」は今夜10:00放送です。
「友達以上恋人未満、走り出した恋を真剣交際に発展させる方法」について、あの憎らしい十倉さんが舌鋒鋭くご教示くださいますゆえ、どうぞご覧くださいませ。

私淑

The scribble of Pablo Picasso shot in Barcelona

The scribble of Pablo Picasso shot in Barcelona

心のなかで師とあおぐ方と、お食事をご一緒させていただくことが叶いました。
生きるフィールドは全く異なるものの、私にとっては歩むべき方向を見失いそうになる度に、道しるべとしている大切な存在の方で、貴重なお言葉に触れることの許された至福のひとときでした。

どのような職業においても、その仕事を全うしようとすれば葛藤が生じるように、演じることに身を捧げ、一本の筋を貫くことは決して容易ではなく、迷いと後悔の連続でもあります。

この度ご一緒させていただいた心の師は、傍目には穏やかで、思慮深く、何の迷いもなくご自身の道を突き進んでいらっしゃたように見えるのですが、それでも「自分は、何故こんなことをしているんだろう」と思うことが度々あるそうです。
目の前にあるものをすべて壊してしまいたくなる衝動に駆られることすらあるようです。
曰く、「無の境地にいたることなんて無理です。あんなものは嘘です」とのこと、「せめて表に見えるものくらいは、静かでありたいとは思いますが、心の中には常にマグマを抱えています」というのが本音だそうです。

演じるという非日常と、何でもないことの積み重ねである日常を両立させることは、大変な困難を伴うことであり、それでも日常の尊さに敵うものはないと、必死でしがみつこうとしているのです。
友人から送られてきた、裏山で採れたというタラの芽の写真を見ただけで、その何でもない日常のありがたみに涙がこぼれそうになったりします。
大切なものをどこかに忘れてきてしまったような、そんな後ろめたさは拭いきれません。
そして心の師も同様に、後悔のため息をつくのだそうで、「だったら辞めればいいじゃないかと言うのだけれど、そういうわけにはいかないんです」とおっしゃるではありませんか。

演じることを生業としようとしているお若い方に相談を持ちかけられる度に、「もっと他に幸せな道があるはず」と、別の選択肢を促してがっかりされるのですが、心の師もまた「芸術で身を立てて行こうなどとは思わない方がいい」と多くの若者たちに伝えてきたといいます。
数多の手が出尽くした現代において、芸術の新たな可能性を試みることはいばらの道を分け入るのに等しいはずです。
生半可な覚悟で生きてきた方ではないからこそ、険しき道を無防備に歩むことなど誰にも勧めないのでしょう。

しかし、品位を保ちつつ人の心に染み入る崇高なお仕事をなさっていらしたこれほどの方でも、ご自身の生きていらした道に懐疑的な眼差しを向けていらっしゃるのなら、私ごときの迷いなどむしろ当然なのだと諦めもついたのでした。

年齢も性別も国籍も職業もまったく異なるにもかかわらず、同じ苦しみを味わい、その苦しみの果てにある甘美な果実を共有できる方がこの世に存在することが、私には救いです。
わずか数時間の対話から、たくさんのヒントをいただき、生きることがますます楽しみになって来ました。

金曜ドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」第四話は明日夜22:00放送です。
合コンで圧勝できる秘策「おさわりを極めよ」をどうぞご堪能くださいませ。

ルーシー・リー展

Lucie Rie - A Retrospective

Lucie Rie – A Retrospective

先日、とある撮影にて静岡県を訪れた折に、「静岡市美術館」へ足を延ばし、「没後20周年ルーシー・リー展」を鑑賞して参りました。

ルーシー・リーは、オーストリアはウイーン出身の陶芸家。
ユダヤ人であった彼女は、ナチスの迫害から逃れるため36歳でロンドンへと移り住み、93歳で亡くなるまで、シンプルでミニマルな作品を作り続けました。
白髪に白い洋服をまとうルーシー・リーの虚飾のない凜とした姿は、エレガントな女性の極みとして、没後20年を経た今もなお、私にとって憧れの存在です。

無駄な装飾を排し、薄く緊張感のあるフォルムと、釉薬の配合割合や焼成の温度などを徹底して研究したノートを用いて導き出された美しい色が、観る者の心をつかんで離しません。

また、器のみならず、第二次世界大戦中に彼女が糊口をしのぐべく手がけたカラフルでユニークな陶製のボタンの数々が並び、殺伐とした世の中に、安らぎと希望をもたらしたであろうことを想像させます。

実は、個人的にピンクや黄色といった華やかな色はあまり好みではなく、放映中のドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」の2話にて十倉が掲げた「3つのションを男受けに変えろ」で、「パステルカラーのワンピース」という項目がありましたが、私もみやびと同じように、あのようなかわいらしい服装はどちらかというと苦手でした。
しかし、そうしたパステルカラーも、なぜかルーシー・リーの手にかかると、美しく洗練された色に見えてくるのですから不思議です。
ルーシー・リーのピンクや黄色なら大歓迎です。
もっとも、ルーシー・リーが志した「使うための器」というコンセプトとは裏腹に、現在ではとても手が届くような代物ではなくなってしまい、ただ指をくわえて眺めていただけではありますが。

全国を巡回した展覧会も、こちらの「静岡市美術館」にて5月29日までとなっております。
最後のチャンスをどうぞお見逃しなく。

東京千穐楽

Jakuchu Ito’s exhibition at the Tokyo Metropolitan Art Museum

Jakuchu Ito’s exhibition at the Tokyo Metropolitan Art Museum

昨日を持ちまして、「猟銃」の東京公演が全て終了いたしました。
貴重なお時間を割いて劇場へお越し下さった皆様、誠にありがとうございました。
これより新潟、京都、豊橋、兵庫、福岡と巡って参りますゆえ、各地で、皆様とお目にかかれますことを心待ちにいたしております。

さて、ただ今、上野の「東京都美術館」にて、「若冲展」を開催中です。
私もオーディオガイドを担当させていただいたおり、昨日の終演後に駆け込みで訪れてみました。
華やかな極彩色の「動植綵絵」や「鳥獣花木図屏風」などでよく知られる若冲の絵ですが、個人的には鹿苑寺の「葡萄小禽図襖絵」や、大阪にある西福寺の襖絵を軸装した「蓮池図」のような墨の濃淡だけで描かれた水墨画が好みです。

とりわけ、写真の「蓮池図」は、空間恐怖症的に緻密な描き込みをする若冲にしては珍しく、余白を存分に取った構図に心癒やされます。
花開いた蓮がやがて花びらを落とし、枯れ蓮となるまでが描かれており、それがまるで人の一生のようにも見えます。
更によく見ると、左から二幅目の端のほうに、朽ちてゆく蓮のなかにすっくと立ち上がる蕾がのぞいています。
若冲はこの絵にどのような意味をこめたのでしょうか。

この度の目玉は、「動植綵絵」33幅と,「釈迦三尊像」3幅を同時に鑑賞出来る上、鹿苑寺の襖絵や、ジョー・プライスさんのコレクションなども出揃っていることだそうです。
ぜひ実物をご覧にお出かけ下さいませ。

涙壷

The tear bottle,a Roman antique given to me by Yuko Kuwamura and Hitomi Nagamatsu.

The tear bottle,a Roman antique given to me by Yuko Kuwamura and Hitomi Nagamatsu.

数年前にトルコを旅した折に、イスタンブールの骨董品店にて美しいローマングラスに出逢いました。
それは、古代ローマ時代に、戦場に赴いた夫を想って妻が流した涙をためておくためのものだったそうで、涙壷と言います。
夫が戦場から戻ってきたあかつきには、その涙壷を割って無事を祝うのだそうで、現在のようにテレビもインターネットも、携帯電話もなかった時代に、生きているかどうかもわからぬまま、愛する人の帰りをただひたすらに待つ妻の胸中に思いを馳せ、切ない気持ちになったことを覚えています。

トルコでは、涙壷の国外持ち出しは禁止されており、写真に掲載の繊細なお品は、「和久傳」の桑村祐子さんと「昴-KYOTO-」の永松仁美さんより賜ったものです。

今もなお、多くの方々が古代ローマの女性たちのように心穏やかならぬ日々を過ごしていらっしゃることでしょう。

2011年の「猟銃」の初演の折に、「演じることに自らの魂を捧げることが苦痛だ。できることなら舞台に上がりたくない」と弱音を漏らしたところ、身体の至る所にタトゥーを刻んだ、カナダ人の若きスタッフに、「観客に日常からのエスケープの時間を提供するのが君の仕事でしょ、そんなこと言わずに頑張って!」と慰められたことがありました。
いつもは仏頂面で、覇気のない彼が発した意外な言葉に驚かされ、演じることの意味を改めて教えられたのでした。
あの時も、日本中を震撼させる出来事が起こった年でした。

皆様の大切な方がどうぞご無事でありますように。

私 結婚できないんじゃなくて、しないんです

Seasonal flowers provided by Hanacho arranged in a vase made by Taizo Kuroda

Seasonal flowers provided by Hanacho arranged in a vase made by Taizo Kuroda

熊本における地震にて被災なさった皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
貴重な命が失われたことを、非常に残念に思います。
お怪我をなさった方々も多くいらっしゃることと拝察いたします。
ご自宅に帰ることが叶わなかった方々、お風邪など召されていませんか?
平穏な日常が一日も早く訪れることをただただ願うばかりです。

さて、私は「猟銃」の公演にて、生の緊張感と闘いながら愛とは何かを問いかける日々です。
舞台に出演している最中は他に何も手に着かず、友人知人のお誘いもことごとくご遠慮させていただいている次第ですが、とあるお方がお手製の滋味深き松の実のスープを差し入れてくださり、あたたかく豊かな気持ちになりました。
その他にも、皆様より数々のお心遣いいただきますことに、深く、深く、感謝いたしております。

そして、本日22:00より、金曜ドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」がいよいよ放送開始となります。
男性諸氏が女心を理解して下さらないように、我々女性もまた、男心を読み違えていることが多々あるようです。
このドラマに登場する辛辣な恋愛論の数々は、原案の「スパルタ婚活塾」を書かれた水野敬也さんが実体験に基づいて編み出した有効なテクニックですので、日々の暮らしの中で、意中の方を射止めるべく実践していただけましたら嬉しいです。

私自身も、改めて自らの生き方を省みて、主人公のみやびとともに、女性としての魅力を磨いて参りたいと思います。
軽妙で痛快なラブコメディを是非ご覧下さいませ!

開幕

Ivy leaves shot in Teshima

Ivy leaves shot in Teshima

4月2日よりパルコ劇場にて「猟銃」が開幕となりました。
早々に劇場にお出かけ下さった皆様、そして、大変美しいお花や心あたたまる差し入れを下さった皆様に、心よりお礼申し上げます。

5年前の初演の際には、稽古の一ヶ月前に単身モントリオールへ渡り、友人も知人もいない街で、携帯電話の番号も変更して日本との交信を絶ち、毎日ピラティスやジャイロトニックのスタジオにて身体をつくり、朝から晩まで台本と睨めっこしていました。
宿泊していたアパートから徒歩10分の距離にあったスタジオで、ピラティスやジャイロトニックのインストラクターとして、生まれて初めて舞台に上がるたのサポートしてくれた若き女性たちとは、今でも休みがあればお互いの国を行き来しており、生涯大切にしたいと思えるかけがえのない友人となりました。

アパートで食事をする際も、レストランで外食をした際にも、台本を片時も離さず、ぶつぶつと台詞をつぶやいていたものですから、カウンターで隣り合わせた見知らぬお客様に笑われたり、訝しがられたりもしました。

再演にあたり、ドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです。」の撮影を終えて10日ほどで無理矢理詰め込んだ台詞は、脳味噌が拒絶反応を起こしそうにもなりましたが、ジムのウォーキングマシンで歩きながら、あるいは酸素カプセルの中で横たわりながら色つきの紙に印刷したオリジナルの台本を読み、かろうじて本番に間に合わせることができました。

さて、この度も共演のロドリーグ・プロトーさんは齡60にしてなお磨き上げられた身体を用いて、スローモーションのような均整の取れた動きで孤独に陥った男を演じて下さっています。
そして私は40歳、余裕で軽く演じていますと見栄を張りたいところですが、実際には瀕死のひとり三役、休憩なしの1時間40分、着物の着付けをしながら台詞を述べ、なんとか励んでおりますゆえ、どうぞ劇場にてご覧下さいませ。

猟銃

The stage set designed for ”Hunting Gun”

The stage set designed for “The Hunting Gun”

4月2日よりパルコ劇場にて上演される「猟銃」のお稽古が本日より始まりました。
2011年にカナダのモントリオールにて初日を迎えたこの作品を、5年の歳月を経て再びご覧に入れることとなりました。

実は、演じるという仕事に携わっていながら、この「猟銃」と出逢うまで、舞台の上で演技をした経験が一度もありませんでした。
「何度も同じことを繰り返すと飽きてしまうから」とか、「大きな声が出ないから」とか、「身体が硬いから」などと様々な理由をつけて逃げ回っていた舞台に初めて挑んだことは、女優としてというよりも、ひとりの人間として、多くのことに気付かされた貴重な体験でした。

それまでの私は、できない理由を探すことに時間を費やして、限りない可能性に自ら限界を設けていたように思います。
椅子や机もなく、小道具すらわずかしかない舞台の上で井上靖さんの書かれた言葉と、共演のロドリーグ・プロトーさんだけを拠り所にして演じてみると、そもそも何も持たずにこの世に生まれて来たのだということを改めて痛感させられました。
何も持っていなければ、失うものなどひとつもありません。
ただ心を劇場の空気にゆだねて、素直な気持ちで演じるのみです。

一人の男に届けられた三通の別れを告げる手紙。
妻、そして愛人、さらには愛人の娘と、三人の女性がそれぞれ書いた手紙を、独白のかたちで演じます。
胸をえぐるような哀しい愛の物語をぜひ劇場にてご覧いただけましたら、とても嬉しいです。

益子訪問

A house with warmth of woodowned by Mr.and Mrs.Gunji

A house owned by Mr. and Mrs. Gunji, filled with the warmth of wood

とある番組の撮影にて、益子に新居を構えたばかりの郡司康久さん、慶子さんご夫妻のお宅を訪れました。
長年使っていらした古い家具を随所に配した素朴で美しい一軒家は、木の温もり溢れる心地よい空間でした。
かつては同じ栃木県の日光にて作陶をしていらしたお二人ですが、ものづくりの感性を共有できる大工さんとの出逢いにより、お二人が焼き物を志したルーツでもある益子に小さなお城を築くこととなったそうです。

4月より放送のドラマ「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです。」にて、私が演じる主人公の橘みやびの部屋や、藤木直人さん演じる割烹料理店「とくら」のセットでも郡司さんの作品を使わせていただきました。

新たなお家には、施工した大工さんが京都より取り寄せたという古い木の引き戸や、郡司さんご自作のランプシェードなど、何でもない日々の暮らしが、愛おしくなるような工夫が至る所になされていて、「幸せってなんだろう」と改めて考えさせられました。

器を作る生活と、その器を使う生活が密接した美しい空間、そして、お二人から放たれる穏やかな気配に癒やされたつかの間の小旅行でした。

CLOSE
PHOTO

MIKIMOTO “My Pearls, My Style” Photographer:HIRO KIMURA

LEE November, 2021 issue (SHUEISHA) Photographer:Akinori Ito

Bi-ST November, 2021 issue (Kobunsha) Photographer:Akinori Ito

Otona no Osharetecho October, 2021 issue (TAKARAJIMASHA) Photographer:Akinori Ito

HERS Spring, 2021 issue (Kobunsha) Photographer:Akinori Ito

Photographer:Akinori Ito

GLOW January, 2020 (TAKARAJIMASHA) Photographer:Akinori Ito

GLOW January, 2020 (TAKARAJIMASHA) Photographer:Akinori Ito

GLOW January, 2020 (TAKARAJIMASHA) Photographer:Akinori Ito

Photographer:Kayoko Asai

Photographer:Kayoko Asai

Mrs April, 2021 (BUNKA PUBLISHING) Photographer:Kayoko Asai

Precious September, 2021 (SHOGAKUKAN) Photographer:Akinori Ito

ESSE October, 2021 (FUSOSHA) Photographer:Kayoko Asai

ESSE October, 2021 (FUSOSHA) Photographer:Kayoko Asai