DIARY
師走
昨晩を持ちまして、ドラマ「IQ246」の撮影が終了いたしました。
かつてドラマ「ケイゾク」や映画「自虐の詩」にて大変お世話になったプロデューサーの植田博樹さんにお声がけいただき、この作品に出演させていただくこととなりました。
一足お先に犯罪者マリア・Tの衣装を脱ぎ捨て、何でもない日常生活に戻りますが、木村ひさし監督、織田裕二さんを筆頭に、スタッフ、キャストの皆様は最終話の放送ギリギリまで撮影が続きます。
織田裕二さんは、常に台詞や所作のひとつひとつを綿密に練りつつ溢れるユーモアで現場を和ませ、土屋太鳳さんは深夜に及ぶ撮影の合間にも疲れた顔を見せることなく「伊勢物語」を読みふけり、ディーン・フジオカさんは、法門寺家に据えられたピアノを軽やかに弾くという、自由で穏やかな現場でした。
今年も残すところあとわずかとなりましたゆえ、これより大掃除に励みたいと思います。今年は思い切って20年以上所有している本にも見切りを付け、省スペースを心がけるつもりです。作品が終わる度に儀式として行っている、シュレッダーによる台本の裁断も、ためらうことなく敢行します。「IQ246」の台本の表紙には、IQを試されるようなクイズが印刷されており、新たな台本が届くごとに無い知恵を絞って考える時間を楽しみましたが、それらとも本日でお別れです。
皆様の日常も穏やかで充実したものでありますように。
TBSの日曜劇場「IQ246」第9話は今夜21:00放送です。ぜひご覧くださいませ。
マリア・T
IQ246の撮影で昨晩も遅くまで都内某所におりました。
撮影もあとわずか2話となり、いよいよ佳境に入って参りました。
6話まで誰よりも死体と法門寺沙羅駆を愛する監察医朋美として出演させていただいておりましたが、それは偽りの姿で、実際には織田祐二さん演じる法門寺を凌駕するIQの持ち主で、人を殺めたいという欲求を持つ人間を影で操る知能犯マリア・Tだったのです。
黒づくめの衣装は、アレキサンダー・マックイーンのものでして、切り絵にしてもマリア・Tだと認識できるシルエットを大切にしました。
網タイツに足を通したのは、久々でして、気付くと後ろ姿のシームがずれており、本番前に一直線の美しいラインに整えなければならないことが少々億劫です。
光と影の部屋から指令を送るマリア・Tですが、彼女が紅茶を口にする際に使用しているティーカップは、福島の郡山に窯を構える安齋賢太さんにお作りいただいたものです。
黒田泰蔵さんのお弟子さんであった方で、陶胎漆器といいまして、焼いた陶器に漆を塗り、何度も磨きをかけて艶を消し、マットでノーブルな質感を出すことを得意となさっています。
本来ならば、器を焼いてから塗布した漆を乾燥させるために2〜3ヶ月を要するところ、私の必死のお願いによって撮影間際に1ヶ月弱で完成させてくださいました。
選ぶ器ひとつで、その人の生き様まで見えてしまうものだと思っており、新たな役柄を演じる際には、どのような器が似合うのか、衣装や部屋のセットと同じくらい大切なものなのです。
因みに変態の朋美はビーカーに出汁を入れておりましたが。
TBSの日曜劇場IQ246第7話は今夜21:00放送です。
どうぞご覧下さいませ。
かみ添
雑誌ミセスの取材にて京都を訪れる機会に恵まれました。
炭屋さんでは、一足お先に蓬莱飾りなどのお正月のしつらいを愉しみ、一服のお茶を喫することができました。
また、井上八千代先生の京舞を間近で拝見するという幸せなお時間もいただきました。
詳しくは1月号のミセスにてお読みいただけましたら嬉しいです。
空き時間に自転車にて訪れたのは、大徳寺の近くにお店を構える唐紙のかみ添さんです。
雲母(きら)と呼ばれる粉末状の鉱物から作られる顔料を用いて、木製の型による手刷りで古今東西の文様を和紙に刻む嘉戸さんのお仕事は、手書きの良さが忘れ去られつつある今日の私たちに、大切なものを残そうとしているように見受けられます。
便箋、ポチ袋、メッセージカードなど、女心をくすぐられる品々が、かつて銭湯を営んでいた古い建物の一角に陳列されており、この度は、ひとつとして同じ物のできない刷毛塗りのメッセージカードを求めました。
自転車で京都の町を疾走したのははじめてでしたが、なかなか良いものですね。
道を誤って訪れた宝ヶ池の紅葉のなんと美しかったことでしょう。
TBSの日曜劇場「IQ246」は明日21:00より放送です。
6話は、「殺される価値のない男」と沙羅駆が見積もる男の他殺体についての物語です。
私の演じる朋美にも少しだけ変化が訪れます。
ぜひご覧くださいませ。
小説幻冬
2005年より11年間にわたって続けて参りました「パピルス」における隔月連載「女心と秋の空」が終了いたしましたが、10月27日に幻冬舎より新たに発行された「小説幻冬」にて再び書かせていただくこととなりました。
「文はやりたし」と題する連載で、自ら心動かされた体験を読者の皆様にお伝えすべく、毎月締め切りギリギリで原稿を提出させていただく次第です。
2ヶ月ほど前には締め切り日がスケジュールに刻まれているので、その気になれば、あらかじめ書くこともできるはずにもかかわらず、なぜこうも毎度ギリギリの崖っぷちになるまで原稿を書こうとしないのか、己の愚かさに呆れ気味ではありますが、かろうじて入稿には間に合わせております。
タイムマネージメントを完璧にこなせる立派な女性に憧れますが、残念ながらそのような素養は全く備わっておらず、怠惰な日々を過ごすばかりなのです。
そして、平素より決められたスケジュール通りに仕事をしなければならず、自由が利かない反動から、プライベートくらいは誰にも縛られたくないというのが本音でして、休日は無計画に心のおもむくままに過ごすことが大好きです。
「小説幻冬」は、私の連載よりもはるかに、熟練の先生方や、時代を象徴する作家さん方の連載が魅力的です。
読書離れが叫ばれて久しいですが、皆様のお手元においていただけましたら嬉しい限りです。
また、TBSの日曜劇場「IQ246」は毎週日曜21:00より放送中です。
次回は、ディーン・フジオカさん演じる法門寺家執事の賢正の淡い恋の物語ですので、ぜひご高覧くださいませ。
AGNES MARTIN
訳あって、ただ今ニューヨークにおります。
こちらを訪れる度に必ずと言っていいほど立ち寄るのが彼のフランク・ロイド・ライトが設計したらせん状の回廊式美術館、グッゲンハイムです。
この度も、素晴らしい画家との出逢いをもたらしてくれました。
アグネス・マーティンはカナダ生まれの女流画家で、幾何学的な線や格子を描き続けました。
白く塗りつぶしたカンヴァスはただの白ではなくよくよく見ると、鉛筆で惹かれた横線の間に淡いグレーやブルーが浮かび上がります。
同じように見える白い正方形のカンヴァスが12枚ほど羅列された空間に足を踏み入れた瞬間、日本との時差で朦朧としかけていた意識が澄み渡り、肺の隅々まで酸素が行き渡るような平穏が訪れました。
油彩やアクリルを用いた作品たちは、いずれも繊細な筆致で描かれており、薄く引かれた絵の具は、これでもかという押しつけがましさが皆無で、鑑賞者にゆっくりと呼吸をする余地を残してくれています。
素晴らしい絵画に出逢う度、呼吸が楽になるか、あるいは呼吸が止まりそうになるのですが、アグネス・マーティンは前者でした。
作品の多くはグレートーンで描かれており、その中に時折薄いローズや黄色などの作品が混在しています。
画家本人にインタビューを試みたショートフィルムでは「私は恐れなどのネガティブな感情は描かないわ。ただ愛と美と幸福を描くのみ」と述べられています。
そうです、彼女の作品からは愛と感謝と生きる喜びがほとばしっているのです。
しかし、「絵を描いている時間は、憂鬱とは無縁になるの。悲劇は繰り返されるべきではないわ」という言葉からは、長年苦しめられたという統合失調症の影が顔を覗かせています。
たとえ作品を描くモチベーションが苦しみから発したものだったとしても、彼女が筆を握っている間、考えることをやめ、空っぽになってインスピレーションにゆだねて生まれたものには、心地よい空虚感がただよっています。
ニューメキシコ州の老人ホームで過ごしたという晩年の作品には、わずかに鮮やかな色彩への回帰が見られ、2004年に92歳でなくなる直前に再びまた美しいグレートーンに戻りますが、その過程から、全てを受容し、死さえも受け入れていることが見受けられます。
彼女が傾倒していたという道教などの東洋哲学の影響なのでしょうか。
展示されていた若い女流アーティストに向けたアドバイスの直筆メモが、芸術に身を捧げる人々に救いをもたらします。
「アーティストの生涯は、社会から断絶された自給自足の暮らしのようなものです。
最も注力すべきは、精神がインスピレーションに目覚めることです。
ただひたすらにインスピレーションに従ううちに、いつしか創作を通じてのみ自らを見出し、まさにそれが幸せなのだと気付くのです。その喜びは何ものにも代えがたきものです。
アーティストの人生は、風変わりで、人様の敷いたレールの上を行くようなものではありません。痛みを伴いつつも自らのおかれた境遇と葛藤しつづけるのです。
異端ではありますが、実のところ、それこそがインスピレーションに導かれた生きる道なのです」
日曜劇場「IQ246」は、16日21:00時よりTBSにて放送です。
ぜひご期待下さいませ。
hadakara
日毎に秋も深まり、いよいよお肌の乾燥が気になる季節となって参りましたね。
さて、LIONより、3年の歳月を費やして開発されたという新たなボディーソープ「hadakara」が、満を持しての発売となり、日曜劇場「IQ246」でも共演中のディーン・フジオカさんとご一緒に、新CMの発表会に出席させていただきました。
吸着保湿処方などという日本初のめざましい技術により、身体を清潔に洗ってくれる一方で、保湿成分が洗い流されずにお肌に残ってくれるという画期的な商品です。
LIONの調査によると、日本人女性の多くは肌の乾燥を感じているものの、顔のケアに比べてボディーケアを怠りがちだとのこと、なんと91%もの女性が、「身体のケアを入念にする時間がない」との結果が出ているそうです。
かく言う私もその1人でして、さずがに四十路を迎えましたので、必死に顔のスキンケアはするものの、「ボディーは見えないからいいか…」と、手抜きをしておりました。
人様からはストイックだと思われることが多いのですが、実際の私は、女優にしてはあるまじきズボラ加減に、呆れられるほどです。
生来の無精者にとっては、ボディーケアをする時間があるならば、5分でも、1分でも長く眠りたいというのが本音でして、人前に出る仕事をしていなければ、美容室に行くことすら億劫に感じる質なのです。
しかし、この度発売となる「hadakara」は、仕事に家事にと忙しい女性を、保湿ケアの煩わしさから解放してくれる、頼もしい商品です。
フローラルブーケ、リッチソープ、フルーツガーデンと、3種の香りを満喫しつつ、潤いのベールに包まれるような感覚を味わっていただけましたら幸いです。
勝山健史 織物展
光沢のある美しい絹糸を染め、美しい織物に変化させる染織家である勝山健史さんの展覧会が、シンプルで洗練された着物を得意とする呉服店、「青山八木」にて開催中です。
機織りの工房は京都にありながら、長野においても養蚕を手がける勝山さんは、「斉民要術」と題する6世紀に書かれた中国の農学に関する文献から学んだという「塩蔵繭えんぞうまゆ」と称する技法を用いていらっしゃいます。
現代の絹糸は、西洋文化の浸食を受けて工業化の一途をたどり、節のない均一なものが求められるそうです。
「シルクのストッキングってあるでしょう?あれが基準になってしまって」とのこと、本来は天日干し、あるいは塩蔵、または土中への埋蔵によって生きた繭の命をなきものとするのですが、近頃では温風によって一気に乾燥させることで、絹が含有していた水分や油分を必要以上に奪うため、確かに均一ではあるけれど、美しい艶や柔らかな肌触りは失われてしまうのだとおっしゃいます。
塩蔵繭とは、布の上に塩を敷きつめた上に繭を置き、更に塩と布を重ねて土中で埋蔵することにより、さなぎを酸欠に陥らせ、長期保存が可能になる上、光沢のある柔らかい糸が採れるのだそうです。
コンピューターで制御されたかのようにお行儀のよい糸ではなく、少々ばらつきはあるものの、自然で美しい糸を紡ぎ、それを美しいと感じる審美眼のある方がまだいるはずだと信じていらっしゃるのでしょう。
勝山さんのこだわりは、繭だけではありません。中国、スペイン、オランダ、イタリア、フランス、ペルシャなどと世界中の古い文様を創作の源に、ご自身の肉体を織機の一部として用いる地機という昔ながらの方法で美しい反物を織り上げていらっしゃるのです。
奈良の正倉院に所蔵の古裂なども、唐やペルシャからの影響が多く見受けられるのと同様に、伝統的な織物に世界各国の息吹を取り入れることによって、現代でもためらうことなく着用できるモダンな作品となるのですね。
この度の展示で心惹かれたのは、ルーマニアの文様をアレンジし、黒地にグレーの糸で表現した名古屋帯で、漆黒に浮かび上がる文様が絹糸そのものの持つ光沢の効果で銀色に見える作品でした。
美しいものに触れると、心に栄養を注がれたような感覚をおぼえ、この上なき幸せを感じます。
演じるという仕事をする上で、いえ、この仕事をしていなくとも、最も大切にしている、心動かされる瞬間であり、生きがいなのです。
スペシャルドラマ「模倣犯」第2夜は本日21:00より放送です。
史上最悪の連続誘拐殺人事件の結末を見届けていただけましたら嬉しいです。
0泊3日
TBSドラマ「IQ246」にて監察医を演じることとなりましたが、撮影に先駆けて実際の司法解剖の現場に立ち会う機会を得ました。
バンコクのチュラロンコーン大学では医療従事者や鍼灸師、柔道整復師などのために解剖学のオープンカレッジを設けているようで、先日タイを訪れた折に、そちらに参加させていただこうと試みたものの、残念ながら私は有資格者ではないためお許しを得ることができず、泣く泣く帰国したのでした。
しかし、かつてのインド旅行で培ったサバイバル能力を最大限に発揮して、何度もタイに電話をかけ、メールを送り、交渉に交渉を重ねたところ、法医学の専門医との連絡を取って下さった方があり、急遽タイへ出かけることになったのです。
タイ中央法医学研究所のチーフ監察医でいらっしゃるPanjai先生とおっしゃる女医さんのもとを訪れるにあたり、数字と時間にめっぽう弱い私は、人生のうちで何回目かの、飛行機を逃すという失態を犯してしまいました。
なんと愚かなことでしょう。稀代の大馬鹿者です。運良く積算マイレージの特典を利用して予約していたはずチケットが、何を間違えたのか一日前のもので、チェックインをしようとパスポートとeチケットを提出してみたものの、すでに予約便は22時間前に出発済みで失効しており、新たに航空券を買い直す羽目に相成りました。
幸い空席があったため、急な出費は発生してしまったものの、予定通りの飛行機にて無事バンコクへたどり着くことができましたが。
現地滞在18時間のみという弾丸ツアーでしたが、朋美という役柄を演じるにあたり、台本を読んでも全く理解ができなかった、死体を愛し、内臓を美しいと感じる気持ちに少し近づけた気がいたします。
良く言えば探究心、悪く言えばのぞき見趣味に他なりませんが、人体の精密さ、内臓の美しさに魅入られた旅でした。
詳しくは、近々新たに始まる雑誌の連載にてお伝えしたいと思います。
テレビ東京のスペシャルドラマ「模倣犯」は9月21日(水曜日)21:00、22日(木曜日)21:00の二夜連続放送です。
極上のミステリーをぜひご覧下さいませ。
Falling in love
旅先にて恋に落ちました。
ひと夏の儚い恋でした。
しかし、この想いをどのように断ち切ったらよろしいのでしょうか。
初めて出逢った時、瞬く間に心を奪われ、それ以来、毎日焦がれるようにあの方が訪れるのを待ち続けたのです。
シンプルなベージュの装いをひとたび脱ぎ捨てると、つややかな白い肌が露わになりました。
すると、あの方の全身からさわやかで甘い香りが漂い、私を夢心地にしてしまいます。
こんな想いは初めてです。
これまでにも、旅先で淡い恋心を抱いたことはありましたが、これほどまでに心惹かれたことがあったでしょうか。
控えめでありながら軸をしっかり持っていて、それでいて底なしの優しさを内包し、去り際を心得ていらっしゃいます。
あのお方と共に過ごした甘酸っぱい日々の記憶が、私の心を引き裂くのです。
人は誰しも欠点を抱えているものです。
あのお方とて、決して例外ではなく、少々体液が粘着するという難点はありますが、そのようなことなど気にならなくなるほど、魅力的なお方でありました。
なんとお名残惜しいことでしょう。
日本ではもうお目にかかれないのでしょうか。
あのお方の面影を求めて、本日も街をさまよいます。
甘酸っぱくて、柔らかで、それでいて弾力のあるあの方の肌が忘れられません。
そのお方のお名前は、ロンコン様。
ライチとグレープフルーツを合わせたような味覚の南国の果実。
龍眼に見紛うこともありますが、似て非なるもの。
口当たり宜しく、芳しく、卑しくも一日に三度も口にいたしました。
ええ、まるで貪るように。
私の心を弄んだ罪なお方です。
つかの間の逢瀬は忘れ難く、ことのほか幸せでございました。
テレビ東京のスペシャルドラマ「模倣犯」は9月21日(水曜)21:00、22日(木曜)21:00の二夜連続で放送です。
皆様お忙しいこととは存じますが、ぜひご覧いただけましたら何よりです。
IQ246
酷暑の中、群馬や茨城、栃木を駆け巡った「模倣犯」の撮影が終わり、つかの間の骨休め中ですが、ほどなくして新たな作品の撮影が始まります。
織田裕二さん主演のTBS日曜劇場「IQ246」です。
246などという人智を超越したIQの持ち主である、傍若無人で世間知らずな法門寺沙羅駆(ほうもんじしゃらく)を演じるのが織田裕二さんで、自らの頭脳を持て余し、警察官でも法曹関係者でもないにもかかわらず、暇つぶしに難事件を次々に解決し、警視庁からお目付役として派遣されている新人護衛官、和藤奏子を困惑させます。
先頃行われた本読みでは、すでに織田さんが規格外の法門寺のキャラクターを入念に練っていらして、私自身も物語に引き込まれました。
奏子を演じるのは土屋太鳳さんで、真摯でチャーミングなお人柄が演技にも反映されています。端正なお顔立ちからは想像もできなかった非常に高い身体能力をお持ちで、解剖学もお勉強なさっているようなので、魅惑的な人体の不思議について語り合いたいと思います。
旧華族で、代々その卓越した才能を継承して来たという法門寺家に献身する執事、賢正には日本中のご婦人方が夢中になるディーン・フジオカさん。ご本人は大変真面目で物事を安易に選択するのではなく、何事もよく熟慮なさってから決定される、地に足の着いた方という印象です。
そして、私が演じますのは、法医学の専門医である森本朋美で、監察医として事件の真相を究明する立場です。
人間は嘘を語りますが、物言わぬ死体は雄弁に真実を語るものだと言います。
朋美は、欺瞞に満ちた世間の人々よりも、決して彼女を裏切らず、真実のみをそっと囁く死体を誰よりも愛する監察医で、同じように死体の言葉を聴くことのできる法門寺にシンパシーを感じておりますので、法門寺に匹敵するくらいの変態ぶりを静かに発揮できたらと思います。
蝉時雨が絶え間なく響いておりますが、暦の上ではもはや秋ですね。
10月より3ヶ月、ぜひ「IQ246」をお楽しみいただけましたら幸いです。